南ア南部 唐松山(1960m) 2013年10月13-14日  カウント:画像読み出し不能

所要時間

10/13 8:20 しらびそ峠−−8:30 建物(水道施設)−−8:38 旧ゲート−−9:07 造林小屋−−9:21 黒沢(橋流失)−−9:47 造林小屋−−9:59 第2登山口−−10:40 北又沢(休憩) 10:58−−11:26 大沢山荘 11:28−−12:02 廃林道(休憩) 12:24−−13:27 唐松山(休憩) 13:48−−14:22 廃林道−−14:42 大沢山荘−−14:59 北又沢(幕営)

10/14 5:14 北又沢−−6:27 廃林道(第2登山口)−−6:40 造林小屋−−7:01 黒沢(橋流失)−−7:17 造林小屋−−7:56 旧ゲート−−8:08 建物(水道施設)−−8:15 休憩&テント虫干し 8:29−−8:32しらびそ峠

場所長野県飯田市(旧下伊那郡上村)
年月日2013年10月13〜14日
天候2日とも快晴
山行種類無雪期幕営
交通手段マイカー
駐車場しらびそ峠に駐車場あり
登山道の有無昔の登山道があるがほぼ廃道状態
籔の有無無し
危険個所の有無廃林道の黒沢にかかる橋が流失し、残置されたトラロープで急斜面を登り下りする必要あり。林道は崩壊進行中で落石多数、数年後には路面が落ちて通行不能になる可能性あり
山頂の展望樹林で展望皆無
GPSトラックログ
(GPX形式)
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コメントしらびそ峠から古の大沢岳登山道を経由して唐松山へ。廃林道化した遠山林道は崩壊進行中で、黒沢に架かる橋は流失してトラロープで急斜面を上り下りする必要あり。林道上は落石多数で自転車使用不可能。林道から登山道への取り付きは大沢岳第2登山口(標識あり)。北又沢へ下る道は薄くなっているが籔皆無で使用可能。北又沢は手動のロープウェイで渡る。場所を選べば飛び石で渡れそうだった。北又沢〜唐松山間も道は薄いが下部を除いて尾根上に道があるし目印多数あり。大沢山荘は今でも建っているが1階の窓が壊れた状態。使うなら2階がいいだろう


ルート図。クリックで拡大


しらびそ峠駐車場
駐車場から見た南ア南部
遠山林道入口。橋決壊は第1登山口ルート 平成23年春の注意書きが・・・
最初は整備された林道 林道から見た丸山と荒川前岳
水道施設 水道施設のすぐ裏で林道崩壊、先は廃林道化
深南部も見えてきた
  1. 林道のあちこちで斜面崩壊進行中
旧ゲート。昔はここまでマイカー可だった
旧ゲートのすぐ奥にもゲート その奥の廃車
尾高沢のカーブは土砂に埋もれる 落石を乗り越える
1702m峰南の造林小屋
造林小屋南側にはホオズキ 尾根を大きく回り込む
黒沢の橋は落ちていた トラロープで沢に下る
対岸のトラロープ。2か所あるが下流側が安全 斜面をよじ登る
しばし安全な林道が続く 1669.4m三角点南の造林小屋
造林小屋から見た唐松山
白い四角い板が尾根取り付き ここまでも林道は崩落している
ここで林道を離れる 旧登山道を下る
道は薄いが籔無し&目印多数 ここも道
沢が近づくと右にトラバース 籠で対岸に渡れる
メインザックをデポ 対岸のワイヤー支点
最初は尾根上に向かわずトラバース 標識があちこちに残る
尾根南側から北側に移ってトラバース 大沢山荘近くの水場標識。近くにあるのか?
大沢山荘(西から見る) 大沢山荘(東から見る)
1階内部。比較的きれいだが窓が破れている個所あり
山荘上部は道が薄く黒い水源ホースを辿る 標高1500mで廃林道
廃林道から見た兎岳 林道を挟んだ登山口
新導入のGPSロガー 標識はまだ生きている
薄い道を行くが籔は無い ここは明瞭な道形
標識はきれい なおも登る
深いシラビソ樹林 この標識も新しく見える
唐松山山頂。標識無し 帰りの大沢山荘
北又沢 川辺で幕営。1ヵ月前に購入した新品テント
真っ暗な時刻に出発。ザックも1ヵ月前購入 明るくなってきた
林道直下 林道に出る
しらびそ峠方向を見る こんな崩壊が進むと通行不能になるかも
シラビソ高原の建物はよく目立つ 橋の落ちた黒沢に下る
黒沢を見上げる 対岸を登る
アザミが多く見られた 造林小屋が遠くなった
旧ゲート もう関係者の車の乗り入れも不可能
生きている林道に出た しらびそ峠到着


 南アの2000m峰は全て登っているが山名事典記載の標高1960mの唐松山は未踏だ。しらびそ峠から遠山林道(廃林道)を巡って丸山、立俣山に登った時に近くまで行ったことがあるが唐松山が山名事典記載だと知らなかった時期だったのでスルー。標高1900mもあるのだから登らないのはもったいない。

 ただし場所は微妙に奥地。旧大沢山荘から大沢岳に至る尾根の途中にある。今年の夏に小渋川から大沢岳にでも登ろうかと思っていたが行かないうちに夏が終わってしまった。大沢岳に行けばおまけで唐松山に登ろうと考えていたのだが。

 唐松山単独で登るのならしらびそ峠から往復が最も近いが、ネット検索によると今年7月エンドの記録によると現在の遠山林道は昔のゲートより手前から廃林道化し、一部崩壊してトラロープでクリアする場所もあるらしい。それでも危険個所はそこだけらしいのでルートに大きな問題はないが体力の面が問題。仕事の都合で丸1カ月山無しで体力低下が著しいと予想された(運動してないのに体重は5%強の3kg減)。計算上の累積標高差は往復で約1700m。私の通常体力なら文句なし日帰りだが今は怪しいので幕営に。水場を考えると北又沢で幕営しかない。今までの業務多忙での寝不足も考慮し、初日はのんびり出発して北又沢で荷物をデポし空身で往復して北又沢で幕営、翌朝、しらびそ峠に登り返す計画とする。

 実行日は体育の日の3連休。初日は会社でお仕事で実行は連休2日目と3日目。天気は連休初日は弱い冬型で2日目以降は徐々に冬型が緩んで快晴が期待できた。ただし冷え込みが厳しそうで1か月前まで完全夏山だったから体は寒さに慣れていないため、装備は準冬装備。ダウンジャケットに冬用シュラフ。今回からテントは新品のG-Light1人用、ザックも新調の50リットル。編笠山で失くしたGPSロガーも新調しガーミンのforetrex301。業務多忙で取説(紙は無くCD)を読んでる暇がなかったので使い方はまだよくわからないままだが、電源入れればログは取れるだろう。

 久しぶりのしらびそ峠は飯田ICから向かうことに。ただし夜のうちに峠まで入って寝ると寒そうなので矢筈トンネル入口のトイレ付駐車場で仮眠。車の交通量は少なく爆睡できた。この標高だと氷が張るまでもいかずいい場所選定だった。充分明るい時刻にトンネルを抜けて峠へ。既に駐車場はそこそこ埋まっていた。たぶん尾高山や奥茶臼山への登山者だろう。正面には立俣山。荒川前岳には全く雪が付いていない。大ザックをパッキングして通行止めの案内看板がある遠山林道に足を踏み入れる。

 出発後に気付いたが、このルートは夏場はヒルが出没する場所なので出発前にヒル忌避剤「ヒル下がりのジョニー」を足元に散布する予定だったがすっかり忘れていた。近年は南ア南部のメジャールートでもヒル被害が見られるようになっており、夏場はヒル忌避剤が不可欠になっている。私は何度も夏場に便ヶ島や易老渡から入山しているが一度もヒルに喰われたことは無かったが今はそうはいかないようで、今年の9月に甲府のICIで「ヒル下がりのジョニー」を購入したのだった。今回は使用を忘れたが気温が下がってヒルは活動停止したようで被害は無かった。

 最初から廃林道かと思いきや、整備された形跡があってびっくり。どこまで続くかと思ったらコンクリートの平屋建物(たぶんしらびそ高原の水源)までで、その先のカーブで林道が崩落し、その先は斜面崩落の連続だった。この状況は昔は旧ゲートを越えて大沢岳第2登山口の先まで歩かないと見られなかったのだが。途中の造林小屋はもう使われていないのだろう。廃林道は大荒れで自転車でも通行は不能、歩くしかない状態だった。斜面からの落石多数で素直に歩くのも難しく、できるだけ大きな石を避けるが小さな石に足を乗せつつ進んでいく。今のところ路面が大きく崩落している個所は無く通過が危険な個所は黒沢の1か所のみだが、年月が経過すると路面が落ちることも充分考えられる。そうなったらもうここは使えないだろう。

 唯一の危険個所は黒沢を渡る橋が流失していたことで、黒沢上流部は大規模な斜面崩壊が発生していて土石流によって橋が押し流されたのだろう。林道も土砂に埋もれていたが、沢は傾斜がきつく土石流は流れ下ったようで沢は埋もれていなかった。よって急斜面を10mくらい沢に下り、対岸も同じ高さを登る必要があった。幸い、両岸ともトラロープが残置されていて利用可能。左岸側には2か所ロープがあったが上流側のロープは危険な急斜面に設置されていて使うのはマズそうで、下流側の比較的緩い傾斜のロープを使うのが良い。両岸ともロープに全体重をかけないと通過できないような場面はなくロープはあくまでも補助として使う程度。でもその安心感は大きい。林道に這い上がればもう危険個所は無い。

 造林小屋は2か所あるが車が入れないので荒れる一方だろう。中は見ていないので状態は不明だが、壁や屋根はあるのでいざというときに使えると思う。ただし施錠されているかもしれないが。造林小屋は張り出した緩い尾根上にあり落石の心配がない安全地帯。

 2つめの造林小屋を通過してさらに進み小尾根に出ると大沢岳第2登山口、今回唐松山に登るルートだ。ちなみに昔は第1登山口があったがずいぶん前に橋が崩落し通行止めになり、この第2登山口に切り替わっている。第1登山口は1つ目の造林小屋から北又沢に下り、沢沿いを遡上して大沢山荘のある尾根に取り付くルートだったが、基本的に沢沿いの登山道で大水が出るたびに荒れるので廃道になったのだろう。第2登山口ルートは沢は横断するだけの最短距離、しかも沢は橋ではなく籠で渡るので破損の心配がない。

 第2登山口から尾根を下っていく。今はほとんど利用者がいないが、この付近の植生はシラビソ混じりの落葉樹林で地表付近は下草、籔は皆無でどこでも歩ける状態なので、道が薄くなっても問題なく歩けた。ジグザグしたり少し巻いたりはするが基本的に登山道は尾根上に付いているので、ルートが分からなくなった尾根上を進めばいい。今でも古い目印が残っているし新しいリボンも多数見られたので、籔に慣れた人ならルートミスの心配はないだろう。

 尾根末端が近づくと道は右にトラバースし北又沢に降り立つ。前回利用した籠は今でも健在、今の時期なら場所を選べば飛び石で渡渉できそうだが籠の方が手っ取り早いので利用させてもらう。しらびそ峠→大沢岳方向は僅かな下りで楽に移動できるが、帰りの逆方向はちと力が必要だった。

 対岸で荷物をデポしてアタックザックで唐松山を往復することに。今日は快晴で日中の気温は思ったより高めで防寒具は不要と判断、シャツ、フリース、ゴアと水食料を持って出発。目的地までの標高差は約900m。長くて2時間半くらいだろうが、ここまでほとんど休憩なしで歩いてきたので廃林道でお休みが必要か。今日はたっぷり時間があるので急ぐ必要はないし、たぶん急ぐと明日はひどい筋肉痛に悩まされるだろうからのんびりと目指すことにする。

 今までアタックザックで歩く場合、GPSロガーの置き場所に困っていた。ロガーは受信状態がいいように雨蓋に入れていたがアタックザックは小さくて雨蓋はなく、以前使っていたロガーはウェストバックに入れていた。ところが歩く際の振動の影響かいつの間にか裏返って受信できていなかったりしていることが多く使い勝手が悪かった。今回のロガー(foretrex 301)は腕時計のように腕に取り付けるバンドが付属しており、これを利用してアタックザックの肩紐に固定することに。これだと雨蓋よりは受信状態は劣るが今時の受信感度なら問題なし、しかも歩いている最中に向きが変わることが無い。おっと、雨蓋に入れているときでも雨蓋の中がスカスカだとロガーが固定されず裏返しになったりしたなぁ。

 一度歩いた道だが全く記憶がない。尾根に直接突き上げるのかと思ったら尾根の西側をトラバースして南斜面に回り込み、しばし南斜面をトラバース気味に上っていき、薄い道をジグザグに上って尾根に出たと思ったら今度は北斜面のトラバース。いったいいつ尾根に乗るんだと心配になる頃に道が折り返して上に向かい尾根に出た。尾根上は露岩等の危険地形があるのだろうか?

 尾根に乗ってからの方が道が薄くなったように感じるが、この後は延々と尾根上をトレースすればいいので細かいことは考えなくていい。唐松植林で下草は無くどこでも歩ける植生だ。ただし目印は比較的多数あるので道を失う心配はない。やがて右手に大きな建物が登場、廃業した大沢山荘だ。前回見たときと変わりがないように見えるが、1階の窓が脱落した部分もあり入口のドアはボロボロだった。ただ、建物本体はまだ頑丈そうに見えるので2階だったら安心して泊まれそうな。ただし水場が無いので別の場所で調達する必要があるだろう。山荘が営業していた頃は、水は上部からホースで引いていたようだ。

 大沢山荘から標高1500mの廃林道までは山荘の水源だったと思われる黒いホースに沿って登山道があるので、廃林道まではピンクリボンの目印と黒ホースがいいルート案内となる。唐松植林を登って上空が明るくなると廃林道に飛び出す。ここまでのんびり歩いてきたが1カ月のブランクがあって足に疲労を感じたので休憩、廃林道は日当たりが良く暑いくらいで木陰で休憩。樹林の隙間から見える兎岳はもう紅葉は終わっているようだった。上部はハイマツなので紅葉していないけど。休憩中にGPSの受信状況を確認すると良好。

 さて出発。残りの標高差は約450m、1時間強か。廃林道からの入口には文字が消えた標識が。足を踏み入れるとこの先の道の薄さは今までと変わらず、植生も籔無しなのでどこでも歩ける状態で慣れない人だと下りではルートを失いそうだが、基本的に尾根上を辿ればいいし今までと同じく新旧の目印が多い。登りだったら歩きやすいところを適当に歩けばOKだ。

 標高が上がるといつの間にか周囲はシラビソ樹林に変わるが道の状態は不変。倒木はあるが相変わらず籔は無く、道が薄い以外は特に支障はない。今でも残る標識だけが妙に新しく見えたり。昔は行き交う登山者も多かっただろうが、今はこのルートを歩くのは月に数人程度だろうか。

 深いシラビソ樹林を上がっていき、それまで延々と続いた傾斜が初めて無くなって肩のような緩やかな小ピークに出ると唐松山山頂。新GPSを見ると残距離は1桁で山頂に間違いなし。今度のGPSはデータ更新時間が非常に短く、ほぼリアルタイムに残距離の数字が変わっていく。電池節約のために電池セーブの受信設定(たぶん測位頻度を通常設定より低くしていると思われる)にしているのだが。深いシラビソ受信なのに受信している衛星数は10くらいあり、昔のGPSとは感度が大違い。深い樹林なので展望は皆無、地形図掲載の山ではないので山頂標識もない。目印を残そうかと思ったが、最近は一般夏山しか歩いていなかったのでテープも持ってきていなかったので、形跡を残すことは無かった。籔山でもないのでまあいいか。休憩していると雄鹿の悲しげな鳴き声が。今年初めて聞く秋の風物詩。好天続きの3連休の中日だがこんなルートを歩く登山者は皆無だった。

 さあ、下山開始。目印を頼りに歩きやすい所を下っていく。廃林道を越えて唐松樹林に入り標高1380mの尾根屈曲点でついつい直進してしまったが目印と水源ホースが見えなくなってルートミスに気付き、左手に見える目印に向かってトラバース、GPSの軌跡にもしっかりと記録されていた。大沢山荘を通過、尾根下部は南〜西に回り込んで北又沢へ。往路でデポしたザックはそのまま立っていた。

 さて、今夜の宿の設営にかかる。平坦で大きな石が無い地面を探すと対岸の右岸側の方が具合がよさそうなので籠で渡り、足で砂利を均して平坦地を造成して新品テントを設営。今まで使用していたのは2〜3人用で今度は1〜2人用だが、正直なところ大きさはあまり変わらないように見える。でも重さは200〜300g軽量化し、新品なので防水性もバッチリでシングルウォールのためフライも不要。中に入ると広さ的には全く問題なし。今後10年以上はこのテントにお世話になる予定だ。沢の音が少々うるさいが自然の音なので気にならず子守代わり。

 今回は冬用シュラフにダウンジャケットの準冬装備だが、標高1000mの谷底で寝るにはちと暑く途中で起き出してダウンを脱いでシュラフのジッパーを開けて寝ることになった。でもそれが原因だったのか、その後1週間は風邪気味で微熱が続くことになってしまった。

 沢の音で腕時計のアラーム音が聞こえず寝坊、4時過ぎに起床。朝飯を食ってまだ真っ暗な5時過ぎに出発。踏跡が薄いのでルートを辿れるか心配だったが、下りではなく登りだし目印が多いのでライトの光だけでも問題なかった。やがて徐々に明るくなってきてライトが不要に。今日も快晴だ。林道に出ると完全に明るい世界へ。

 さて、この先は約2時間の林道歩きだが廃林道なので気は抜けない。特に黒沢の橋崩落個所が。でも往路で様子が分かっているので往路より気楽。トラロープで安全確保しながら通過する。トラロープがあるくらいなのでそこそこ通過者は多いのだろう。登山者なのか釣り師なのか。傾斜は緩いがまだ峠まで登りが続く。日影では寒いが日向に出ると日差しが暖かい。廃林道区間が終わり水源建物に出れば完全な文明社会圏内。駐車場に戻る前に休憩を兼ねて日向でテント虫干し。最後のパンをかじる。

 最後の直線区間を登り終えればしらびそ峠到着。今朝も駐車場は満車状態で賑わっていた。正確には人の姿は無いので賑わっているのは尾高山や奥茶臼山か。振り返れば逆光の立俣山。もうあそこに登ることはないのかな。

 

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